異類婚姻譚

日本の民話で定番な話と言える一つが、
「鶴女房」や「狐女房」などの異種結婚物だ。

こういう話は、大抵貧しくて嫁の来てがない男の元へ、
ある日突然絶世の美女が現れて、
「どうか私を妻にして下さい」と
都合良く女の方からコクってくれるのだが、
昔も今も、それが日本の男の願望なんだろうか…。

これらの異種女房には、
人間の姿をしていても実は動物と言う設定の他に、
天女や妖怪など異界出身者も含まれる。

そんな異種結婚物の中でも異質で、
私のお気に入りな日本の民話が「タニシ長者」。
何せ、異種と言っても
哺乳類や鳥類より、数段原始的な貝類だ。
それに、人外なのが、嫁ではなく
婿だと言う設定が少数派だ。
しかも、婿殿が(小さいだけに)行方不明となり、
カラスに捕食される危機に遭遇する、
中々スリリングな昔話である。

実は異種婿の話は、
親が勝手に自分の娘の結婚を異種生物と
約束(何かの難題解決と条件に)してしまった
人身御供的な物が多い。
娘は、嫌々ながら、または仕方なく人外に嫁ぐ、
最初から困難婚の設定が多い。
それに対し、美女がいきなり家にやって来て求婚する、
夫側には断る理由が全くなく、
願ったり適ったりの好調スタートの、
多くの異種嫁物話とは大きく異なる。

「タニシ長者」の場合、
最終的に嫁の真実の愛が、
タニシ婿を人間の立派な若者に変え、
商売も繁盛してめでたしめでたしと言う結末は、
どちらかと言えば西洋の
「カエルの王様」や「美女と野獣」に共通する。



〈異種婿物セオリー〉
①異種婿(多くが人間から姿を変えられた)と無理矢理結婚
②真実の愛が芽生え、婿が人間の姿に戻り
  (しかも大抵イケメンで上流階級)ハッピーエンド
②´または、一生愛が芽生えず、異種婿(元々怪物)からめでたく脱出成功

〈異種嫁物セオリー〉
①困っている(怪我した)生物を助ける
②異種嫁(人間に姿を変えた。しかも必ず美女)が現れ順調結婚
③しかし、決して○○は見ないで、しないで等の条件が出される
④結婚が、富や幸福をもたらす
⑤約束が破られ、嫁の正体がバレて破局・別離




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# by piyoyonyonyon | 2017-09-18 15:07

擬人化の伝統

艦隊に刀剣に都道府県に仏像に…と
現在日本の何でも擬人化が凄まじい。

とは言え、これは何も今に始まったことではない。
日本人は、昔から何でも擬人化するのには
抵抗がなく、土台文化があり、
つまり伝統的に一種の独特な才能があった。

例えば、誰でも知っている昔話「さるかに合戦」。
基本的には日本人が大好きな仇討ち物だが、
哺乳類の中でも特に知能の高い霊長類と、
甲殻類が本気で戦う発想が結構異例。

この蟹の親の敵討ちに加勢する一人が、
「臼どん」って器物擬人化も既に凄いんだけど、
「牛の糞どん」がその遥か上を行く。
家畜の排泄物を擬人化するのは、
恐らく世界中に中々例を見ないのではないか。




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# by piyoyonyonyon | 2017-09-17 15:10

スコティッシュフォールドの受難

日本は今でも、犬や猫等のペットは、
子供のうちから飼い始めるのが普通で、
既に大人になっている保護犬や
保護猫を引き取る習慣は、
イギリスに比べるとまだまだ浸透しない。

日本では、犬や猫の種類には、
顕著に流行り廃りがあり、
流行中の血統書付きの犬種や猫種は、
ペットショップやブリーダーで高値で取引される。

しかし、特定の犬猫の種類が
一度ブームになると、悪質なブリーダーは、
無理に仔犬や仔猫を増やそうとし、
結果として障害や問題のある子が生まれ易い。
母親に負担が掛かり過ぎることもある。
ブームが去った後の運命も悲惨だ。
悪質じゃなくとも、時に売り物にならない
不出来な子が生まれる場合は避けようがなく、
動物愛護の先進国イギリスであっても、
処分されるのが当たり前である。

イギリスでは、ペットショップで
仔犬・仔猫を販売することは、
今ではほとんど無くなった。
未だ免疫の完全でない小さ過ぎる頃から
母親と引き離されたり、
売れ残って成長し過ぎると処分されたり、
店舗の劣悪な環境に置かれることも多いからだ。

もう犬猫種の流行に乗るの、止めましょうよ。
雑種は丈夫で可愛いですよ。
例え成犬・成猫でも、愛情を沢山注げば、
子供の時から育てたのと全く変わらない程、
掛け替えのない家族になりますよ。

今日本で、猫の一番人気は、
スコティッシュフォールドと聞く。
垂れ耳が特徴の、愛嬌のある可愛い猫種だ。
しかしこれは、突然変異の
耳の軟骨異常を固定化した猫で、
すなわち遺伝子疾患の為、
遺伝性骨形成異常症や
内臓の奇形等の病気に掛かり易い。
特に、四肢の関節に、
「骨瘤」と言う骨のコブが出来易いらしい。

その他にも、犬猫の血統種には、
突然変異を人間の都合や物珍しさで、
強引に固定化したものが少なくない。

例えば、愛玩犬の多くは、
人間の勝手な都合で寄り小さな体に固定された。
しかし胎児までは操作出来ず、
本来の大きさのままなので、
愛玩犬の出産は、危険を伴う難産らしい。
古来から日本では、犬は安産の象徴だったと言うのに。

スコティッシュフォールドの件は、
例え自分が猫好きじゃなかったとしても、
聞き捨てならない。心が締め付けられる、辛い話だ。
私も、以前は垂れ耳の奇形、
すなわち人間スコティッシュフォールドだったから。

なので、これからスコティッシュフォールドを
飼おうとしている人は、病気に細心の注意を払い、
尚且つ覚悟しなければならない。
既に飼っている人は仕方ないとしても、
これからスコティッシュフォールドを
選ぼうと思っている人は、出来れば諦めて欲しいと願う。
スコティッシュフォールドを欲しがる人が
世の中に多ければ多い程、
障害のある仔猫の生まれる確率が、寄り高い訳だから。




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# by piyoyonyonyon | 2017-09-15 15:06

キョドー君

夫が子供の頃、「イーグル・アイズ」と言う名の
特別仕様のアクション・マンが
販売されていたらしい。

イーグル・アイズは、
「(獲物を狙う鋭い)ワシの目=炯眼」の意味で、
その名の通り、頭の後ろのレバーを使って、
目を左右に動かすことが出来る仕組みの、
目付きの鋭いクールなアクション・マン
…のはずだった。

が、ギミックが稚拙だったのか、
造形が不出来だったのか、子供心にも
不審者にしか見えなかったそうだ。




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# by piyoyonyonyon | 2017-09-14 15:07

無駄に豪華

夫が、仕事でロンドンの
セミナーに行くことになった。
昼食は、多分サンドウィッチ位は
供給されるだろうから、
お弁当は必要ないと言った。

実際の昼食には、サンドウィッチどころか、
デザート付きのフルコースが出た。

その他にも、インディアン・パーティ、
アフタヌーン・ティー・パーティ、BBQパーティと、
夫が入社して以来数ヶ月の間に、
結構しょっちゅうパーティが会社で行われている。
…今時こんな企業は非常に珍しい。

夫は、以前も大きな会社に勤めていたが、
イギリスのバブルが崩壊して、
世間の景気がどんどん悪くなり、 
こういう部分のコストは真っ先に削減された。

私がイギリスに住み始めた頃は、
その会社では、社員の為の夫婦同伴の
豪華クリスマス・ディナー・パーティが
毎年開催されていた。
しかしそのうち、パーティは有料になり、
更にその後消滅した。

オフィス自体も次々に閉鎖され、
政府や軍から依頼の仕事じゃない限り、
自宅勤務が基本となった。
(スーツを着る必要もないし、
通わなくてラクだったけど)

やっぱり半官制のような会社は、
何処か感覚が世間とズレている。
日本の某電力会社も
今でもそうなんだろうな…と考えると、
素直に喜べる気持ちにはなれない。



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# by piyoyonyonyon | 2017-09-11 15:06

チップ・バティと揚げマーズ・バー

この二つの料理(?)は、
イギリスの不健康で貧しい不味い食生活を象徴する、
世界の悪食にもランクインする食物であるが、
試しに夫に、マーズ・バーの天ぷらを、
今まで食べたことをあるか?と聞いたら、
ある訳ないだろ!と一蹴された。

じゃあチップ・バティは?と聞いたら、
「あるよ」「ひええ?!」「単にチップス
(フライド・ポテト)のサンドウィッチだよ」
と、何処が可笑しいんだいという風に答えた。
北部出身の友達の家で、
一度だけ食べたことがあるらしい。
結構美味しかったそうだ。

だって炭水化物×炭水化物だよ?
と未だ私が腑に落ちず聞いたら、
「パイ料理にだって、付け合せにチップスが付いて来るだろ?」
…でもそのパイには、チキンとマッシュルームとか、
ステーキとグレービーとか中身が入っていますし…。

日本にも、「スパゲッティ(ナポリタン)パン」とか
「焼きそばパン」などが存在し、
確実に炭水化物×炭水化物パンだが、
そうとは意識しなくとも、私は全く気乗りしなくて、
今まで食べたことが一度もない。
コロッケ・パンのコロッケも、
ジャガイモが多くて炭水化物メインだ。
しかし、あれは御飯のおかずになるから、
コロッケ・パンを食べる機会はほとんどなくとも、
感覚的に未だ許せる。
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# by piyoyonyonyon | 2017-09-09 15:06

非健康的地域

先日のイギリスのニュースで、
イングランドの北部と南部では、
平均寿命に顕著な差があると発表した。
何歳差かは、生憎夫婦揃って聞き逃したが、
勿論北のほうが寿命が短い。
多くのイギリス人にしてみれば、
然程驚きもしない、そりゃ納得と言う事実で、
もし逆の調査結果だった場合は驚く。

日本でも沖縄の平均寿命が一番長いので(注:女性のみ)、
南イングランドは気候が温暖な為、
北よりも長生き出来る、と言われれば、
それも理由の一つになるかも知れないが、
主な原因は、北イングランドの食生活にある。

チップ・バティ(バターやケチャップを塗った
フライドポテトのサンドウィッチ)」や
揚げマーズ・バー(スニッカーズに似た
極甘のチョコレート・バーの天ぷら)」とか食ってりゃ、
そりゃ北の人間は早死にするよ!と夫は言う。
ううっ、聞くだけで胸焼けしそう…。

北イングランドに住む生粋のイギリス人
(=アングロ・サクソン人)は、頑固な気質で知られ、
特に食に関しては非常に保守的。
今だ、伝統的なイギリス料理しか受け付けない
(しかし揚げマーズ・バーが…伝統料理か?)。
従って、食生活は自ずと高カロリー
&高脂質&高塩分を好む傾向にある。
そもそも、健康に対する意識が、
イギリスの中でも特に(日本人が想像出来ない程)低い。

昔から炭鉱や工場労働者が多い地域で、
今は失業率が高いから、飲酒率や喫煙率も高い。

日本でも、例えば東北地方では、
伝統的に漬物等からの塩分の摂取量が高い為、
脳溢血の発症率も高いと言われているが、
イングランドでは、郷土料理はほとんど存在せず、
食べ物自体は何処へ行っても大差ない。
単に、何を食べるか選択の問題。

しかし、地域や職業に寄って、
平均寿命や健康意識がはっきりと違うのは、
階級社会のイギリスらしい現象のように思える。




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# by piyoyonyonyon | 2017-09-07 15:05

アンティーク・モールの災難

先日訪ねたアンティーク・モールで、
入り口近くの空のストールで、
店主(ストール主)らしき男性が品物を並べていた。

夫が、「新しくここに出店するのですか?」と尋ねると、
店主は、実は元から出店しているんだけど…と
苦笑しながら答えた。

では何故今ストールが空かと言えば、
つい最近強盗に入られ、
自分のストールの商品だけ
根こそぎ盗まれたからだそうだ。

恐らく、銀器や宝石など高価な品物を中心に
扱っていたストールだったのだろう。
合計で、17,000ポンド(約242万円)の損出だそうだ。

アンティークの貴金属は、
新品に比べると価値は劣る(技術的に希少、
または歴史的に重要でもない限り)が、
新品を扱う貴金属店に比べると、
アンティーク・モールの防犯設備は、
今時驚く程非常にお粗末である。

窓辺のこのストールは、
そこを窃盗犯に目を付けられたらしい。




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# by piyoyonyonyon | 2017-09-06 15:07

過ぎたるは

うちの近所に、巨大でド派手で
醜いノーム(小人)の人形が、
にょっきにょっきと沢山並んでいる前庭の家が在り、
…悪趣味過ぎて、最早カッコイイ。




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# by piyoyonyonyon | 2017-09-05 15:05

非常に退屈なシュイクスピア

姪の通う小学校のクラスで、
児童達がシェイクスピア劇を演じることになった。
演目は、「The Winter’s Tale 冬物語」。
シュイクスピアの中でも特に長い戯曲を、
10歳位の子供が演じ切れるのか?と思ったが、
一応子供向けに話がダイジェスト版になって、
一時間以下に端折ってあるらしい。

で、その演劇の舞台を撮影したDVDを、
無理矢理見せられる羽目になった(義母と義妹から)。
夫は、見る前からあから様にウンザリしていて、
実際劇中は居眠りしていた。
姪が一言だけ出演したシーンにも、
気付かなかったと言うか、
元々見付けようとも思っていなかった(ひでえ伯父)。
実は私も、睡魔と闘うのに必死だった。
冬物語は、せつない興味深い戯曲と記憶しているのに、
正直言って、その位つまらなかった。

英国人でも現在は使わない古風な難しい台詞を、
子供達が卒なく暗記していたのには感心したが、
良く言えば大人っぽくミニマムでスタイリッシュ、
悪く言えば地味で陰鬱に、全体的にアレンジされていた。
衣装は、現代の普通の服装に、
古代ギリシャかローマ風に布をまとっただけ。
(注:冬物語の舞台は中世のシチリアとボヘミア)
舞台セットもほとんどなし。
BGMには、アコースティックなポップスが流れる。
結果、子供の嗜好や娯楽を無視した、
指導者の自己満足感だけが、
アリアリと滲み出ていた。

演目自体、「十二夜」や「じゃじゃ馬ならし」、
「お気に召すまま」とか、
もっと子供にとって楽しそうな
軽快な喜劇の選択もあったはずなのに。
(まあ現代の感覚から見ると、差別的とか
倫理的に問題有りな作品も多い訳だが)。

姪に、これ楽しかった?と聞いたら、
案の定ブンブンと首を横に振り、
しかめっ面で「すんごく退屈だった!」と即答した。

私は丁度姪と同じ年頃の小学生時代に
「ベニスの商人」を見たが、
華やかな舞台衣装に心が躍ったものだよ。
「胸の肉1ポンド」とか、残虐で怖いなあと思った。

小さい頃から古典に親しませるのは、
大切な事だとは思うが、
こんな退屈な劇では、逆効果じゃなかろうか。
この子達が大人になった時、
「シェイクスピア? 子供の頃演ったけど、
もうウンザリ」とか答えるかも知れない。




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# by piyoyonyonyon | 2017-09-04 15:05