英国民の二極化

元々根強い階級社会であり、
常々イギリス人は様々な面に置いて、
日本人よりずっと極端な国民だとは思っていたが、
EU離脱・残留を問う国民投票は、
英国社会の二極化を改めて世界に露呈した。

右翼と左翼とか、そんな単純な二分ではない。
今回の国民投票は、言わば
1.若年層VS中高齢者
2.高学歴VSそうじゃない人
3.高収入者VS低所得者
4.都市部在住者VS地方在住者
の戦いで、離脱派は後者に集中したと言われる。

まず1は、移民の居る社会が当たり前
と感じて育っている若い世代と全く違い、
高齢者は今だ慣れず、
従って移民に対する嫌悪も大きい。

元々「イギリス人」と言うのが複雑な混血で、
過去に植民地政策で最も成功した国であり、
今でも女王に傅く多くの英国連邦の中心で、
近代には労働力不足を補う為に、
政府自ら多数の移民を率先した歴史が
ある位の多民族国家だから、
日本人よりは遥かに国際感覚があると思っていたが、
世代や場所に寄っては全くそうではないようだ。
島国は、やっぱり島国だ。

そういう外人アレルギーな老人達は、
たまたま近所に住み付いた東欧人一家が
非常に迷惑だからと言う理由で、
国の将来や経済デメリットなどまるで考えずに
(自分達はもう働く必要がないから)、
EU離脱を支持する。
うちの近所で一番迷惑な一家は、
イギリス人なんですけど?

おまけに、老人達は、今だ大英帝国時代の
過去の栄光が捨てられず、
イギリスは特別だと言う、
妙なプライドに縋っている。
(ピーター・バラカンさんも言っていた)

義母は、周囲の同年代の英国人と話して、
「若い時代のイギリスは良かったから、
あの頃を取り戻したい」などと盛んに言って、
その為に離脱を支持するのを何度も耳にした。
それを義母は、「ばっかじゃないの! 
過去に戻れる訳ないでしょ?
若い頃は、単に自分が若かったから
良かっただけよ!」とバッサリ切り捨てる。

残留に投票した夫の同僚は、
「離脱に投票した年寄り達なんて、
実際離脱する頃には大方死んでいるわよ!」と憤る。

若者達も、「今後60年も70年も
生きなきゃならない私達の未来を、
後10年も生きられない年寄りに
決定されるのか…」とショックを受けている。

2と3の後者は、いわゆる労働者階級と呼ばれる人達で、
EUの恩恵が実感出来ない、グローバルとは無関係な、
ぶっちゃけ社会の負け組である。
日本との接点も、実際日本人と交流する機会も、
ほとんど無いタイプのイギリス人だ。

彼等は、暮らしが苦しいのは、
政府の、社会の、EUの、移民のせいであって、
自分達自身の働きが足りないとか、
やり方が効率的ではないと言う考えには到達しない。
(注:夫の意見)

そして、そんなイギリス人の多いこと自体が、
国を弱くしていることにも気付きもしない。

大量の移民は、確かに脅威だろうから、
「例え国や自分が貧しくなっても構わないので、
これ以上の移民はイヤ」と思って
離脱に投票したのなら、未だ納得できる。

残留を支持する人の中にも、
正直移民増加は有り難くないし、
EUも嫌いだけれど、
国が弱く貧乏になって、
自分の暮らしの質を落とすよりはマシ
と思って投票した人も居るに違いない。

しかし、EUも蹴り、移民も蹴り、
それでも国が強くなり、自分達も豊かになる
と信じている多数の離脱派の感覚は、
お目出度いと言うしかない。
なるほど考えの浅い人が、
喜んでとっつく幻想だとは分かる。
アメリカのトランプ人気も、同じ現象だろう。

離脱しても、彼等が期待した通り、
生活が豊かになる訳がないどころか、
益々貧乏になるのは目に見えているし、
主権を取り戻せるはずもなく、
思うように移民をコントロールすることすら出来ない。
その不満を彼等は、自分達の選択の失敗とは反省せず、
絶対外国人への八つ当たりとして発散するだろう。

4に関しては、私も地方都市に住んでいるが、
首都に近い南東部に限って言えば、
返って農村部のほうが裕福な位で、
正直余り実感出来ない。

しかし、中央の政権から蔑ろにされた、
中部や北部の在住者の怨念は、
聞くところに寄れば非常に根深いらしい。
概ね北へ行けば行くほど、
産業も廃れて失業率も高くなる。
北部へ行くと、例え歴史的な由緒正しい町でも、
確かに荒んだ雰囲気が漂う。

この国民投票の結果は、
言わば2、3、4の後者が、
社会に虐げられて来た積年の恨みを、
中央のエリート達への復讐として
ぶつけた集大成のようなもので、
同情票もあったと言われる。
だからと言って、どう考えても、
反旗を翻す場所と機会が間違っているだろ??

それ故に、彼等は馬鹿にされるし、
他国からは、「感情的に孤立主義を選んだ結果」
と嘲笑されている。

うちだって全く金持ちでもエリートでもないが、
そんな彼等には同情出来ない。
被害者ぶって恨むのはお門違いと言うものだし、
金持ちでもエリートでもない我々が、
彼等から復讐される筋合いは全くないからだ。

とにかく国民投票で、英国民の二極化が露見した所か、
今後はひたすら溝が深まる一方と思われる。

離脱は僅差で勝ったので、
残留派は、決定無効を訴える抗議活動や、
再度国民投票を求める署名運動を既に始めている。

勿論、これに離脱派が黙っている訳がなく、
再び壮絶なバトルが繰り広げられると危惧する。

巷で何度か離脱派の熱心な主張を聞いたが、
保守的・頑などころか、過激な宗教みたいで、
この人達は本当に恐ろしいと感じた。
もし意見・反論しようものなら、
あの殺害された女性国会議員のように
刺されそうな勢いだ。

実際、離脱派に寄る移民への
嫌がらせも、既に急増している。
スコットランド等の、英国と縁切りたい地域も続出し、
イギリスは内戦状態になるかも…。
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by piyoyonyonyon | 2016-06-29 15:10


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