使える男とそうでない男

ハンガリー人の友達が愚痴ることには、
「うちの兄貴ったら、どうかしているわよ。
恋人の家族や親戚中の修理・設置は、
皆無料で引き受けているの。
別れた妻の父親の仕事まで、
一日掛けてタダで手伝ってやったのよ。
それなのに、肝心の母さんの家の修理の必要なものは、
皆もう何ヶ月も放ったらかし。
私の頼みにも、てんで非協力的だし…」

この友達のお兄さんは、確か暖房器具や温水器等の
設置の自営業をしているはずだが、
恋人や元妻の家族の為には、せっせと無償で働いて、
年老いた母親の為の仕事は、
てんでやる気無しと言う訳だ。

夫にこの話をしたら、「変わった男だねー」
と全く理解出来ないようだった。
しかし私は、まるで日本人みたいな人だな…と思った。
仕事では非常に腰が低く、まめまめしく働き、
友達付き合いもソツないが、
家では(亭主関白って程ではないにせよ)、
横柄で怠惰で甘えている男は、日本ではそう珍しくない。

頼まれると断れない、人が良過ぎる性格もあるんだろうが、
更に加えて外面が良いと言うか、見栄張りと言うか、
要はええ格好しいなんだろう、このお兄さんは。

しかし、自分の彼女&その家族に
良い顔見せたい気持ちは未だ分かるが、
今だ邪悪な元妻の言いなりなのは滑稽だ。
元妻のほうも、勿論彼が断れない性格なのを良く知って、
利用したいだけ利用しているのだろう。

義父も、このタイプに近い。
見栄っ張りではないが、頼まれたら断れないお人良しだし、
社交・友人関係優先で、肉親のことは後回し。
病気で寝込んでいる妻(義母)を放ってまで、
習い事や会合等を欠席することが出来ない。
多くのアジアの年寄り&古風な男に、
共通していることなのかも知れない。

もっとも、日本のお父さんの場合、
仕事が忙し過ぎて、やむを得ず、家族に尽くす時間も、
心の余裕すらないと言う人が多いんだろうけどさ。

とにかく自分の夫が、こういうタイプでなく、
家族最優先て良かった、とつくづく思う。

一度、義母の友達が、新たにウェブショップを
立ち上げたいと言うことで、
息子(夫)に手伝えないかと話を持ち掛けたが、
「専用書が幾らでも販売されているし、
自分で出来るよ」と、夫は結構冷たく断った。
夫にとっては大して難しいことではないのに、
どうして引き受けなかったんだろうと後から聞いたら、
「ああ言うことは、始めに引き受けてしまうと、
その後も何か問題がある度に、
一々面倒を見てやらねばならないだろう?
既に僕自身(6台位ある!)と君と
両親のコンピューターの世話で手一杯なのに、
彼女の分まで時間を割く余裕はないよ」とのことだった。

確かにその通りだ。
コンピューターは、何か調子が悪い時だけでなく、
アップデイトやらバックップやら
何かと面倒で、その上非常に時間が掛かる。
夫自身は、その義母の友達とは
直接特に親しい訳でもないのだから、
そんな面倒なことで関わってはいられない。

夫がコンピューターにプロ並みに詳しくて、
本当に助かっている。
もしプロに頼んだとしたら、
すぐには来て貰えなくて
直るのに更に時間が掛かる上に、
イギリスのプロだと、高いお金ばかり払って、
真っ当に修理して貰える保障は少ない。
コンピューターだけでなく、この国では何でもそうだ。
夫は、電気工事もプロ級だし、DIYも得意で、
実際大変役に立っているのだから、
義両親は「自慢の息子」と鼻高々だ。

ところで、義兄(姉の兄)の場合は、
DIY関係は勿論、家事全般も普通の主婦以上だし、
元々能力・得意範囲が広い上に、
内でも外でも役に立つ。
自分の妻(姉)には勿論、
私の頼みも大抵快く引き受けてくれるし、
自分の両親、友達、私の両親にさえ親身に世話をしてくれる。
「使える男」と見なされるのが、嬉しいらしい。
多分、兄独自の美学があって、
単に沢山がむしゃらに働くのではなく、
効率良く賢くこなすことに拘りがあるようだ。
ただし、色々引き受け過ぎて、
時々自分のことが回らなくなるのが玉にキズ。
「安請け合い」と姉は嘆く。

一方私の弟の場合、それとは全く逆で、
ほとんどのことで役に立たない
基本的に、自分の趣味の時間(書道)を最優先する。
書道やマッサージや料理など、
得意なことだけは喜んでホイホイ引き受けるが、
そもそも出来ることが極端に少ない。
要領そのものも、致命的に悪い。
イザという時など、当然お話にならない。
不得意なことは、素直に自分が出来ないからとは認めず、
色々苦しい言い訳を付けて逃げる。
そのくせ、両親が代わりに義兄を頼りにしているのが、
長男としてのプライドから気に食わないらしい。
(バカで手に負えない)

義弟(夫の妹の旦那)も、私の弟に近くて、
自分の楽しみを最優先する人のようだ。
義妹より家にいる時間は長いが、
義母の話によると、家事もDIYも得意じゃないらしい。
その上しょっちゅう、子供(姪)の世話や
妻を放って、自分だけ友達と旅行に出掛ける。

実質的に「役に立つ、使える、頼れる男」かはどうかは、
勿論得意分野・技量・能力の差もあるが、
気が利く、マメ、サービス精神が旺盛等の
性格に寄るところも大きいし、
また誰の為にを優先して働くかも大きく左右する。
いや、女性だって基本的にそうなんだけど、
男性の場合、更に個人差が大きいと思う。

けれど、そんな親・姉妹にとっては
極めて情けなかった弟も、
今は妻や子供達にとっては、
十分頼りになっていることを願う。
夫に言わせれば、「だって彼は、震災の時、
津波で亡くなった人達の死体を運ぶと言う、
非常に辛い任務をこなしたんだろう?
職場では面倒見の良い先生みたいだし、
外では結構役に立つ男なのかも知れないよ」とのことだ。

そう言えば、亡くなった育ての母だけは、
「あの子(私の弟のこと)、
本当に優しくて気が利くのよ」と褒めていたっけなあ…(涙)。
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by piyoyonyonyon | 2014-12-09 15:06


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