食の教育

先日、「裸のシェフ」と呼ばれて
圧倒的に人気の高いジェイミー・オリバーが、
「食の教育」に関する演説を行い、
その切実さには、涙ぐましいものがあった。

彼は、イギリス以上に酷い
アメリカの食生活の現実を見て周り、
この演説の18分間にも、
4人のアメリカ人が、不健康な食事の為に
死ぬ計算になると述べた。

彼のシェフとしての腕前が確かか、
彼の料理が本当に美味しそうかどうかはさておき、
イギリスの食生活の質の向上には、
国を代表する程熱心な人であることは疑いようがない。

この質とは、単に高品質の味の良いものを食べろ
と言っている訳ではなく、
栄養学や健康に基づいて、
もっと食に関心を持ち、楽しむこと自体である。

そういうことが、彼に言わせれば、
イギリス人には本当に欠けているらしい。
イギリスの外食産業は、
近年目覚しく発展しているが、
一般家庭の食事は、逆に退化しているそうだ。

もう三世代にも渡って、まともに料理する
習慣&発想のない家庭が多いらしい。
それって本当に恐ろしいことだ。
こういう国民と社会だから、
国家レベルの「食の教育」が必要な訳である。

日本人のほとんどが、
イギリス人の食生活の酷さを知らないから、
ジェイミーの熱弁の意味も把握出来ないだろう。
また、多くのイギリス人が、
幾らジェイミーが切実に訴えても、
その本質を理解出来ないのではないかと思う。

と言っても、一般人の食生活は、
当然閉鎖された個人的な家庭内での出来事なので、
私も端々しか実感したことがない。
ドメバと同じように、外部には分かりにくいし、
自分達が他とどう違うのかも自覚しにくい。
だからこそ、中々「食の教育」
「食事の改善」が浸透しないのだろう。

もしかしたら、伝統的にガストロノミーの
存在しない国なのかも知れない、とすら思う。

日本には、一般家庭でも料理熱心な人が沢山居るし、
健康的で美味しい食品も簡単に手に入る。
全国各地に、様々な名物料理や特産品がある。
しかし、ほんの5、60年前までの日本は貧しく、
特に終戦直後は、ほとんどの国民が
空腹を満たすことすらままならなかった。

では、何故ここまで食文化が発展したかと言えば、
それはやはり一人一人の意識を改革する、
食の教育が浸透したからだと思う。

私も、せいぜい小学生レベルの栄養の知識しかない。
小学生の頃、学校給食の一ヶ月分の献立が貼り出され、
そこには、使用材料が、
大きく三つに分けられて表示されていた。
「エネルギーとなる、でんぷん質や糖質」
「肉や骨になる、たんぱく質とカルシウム」
「体の調子を整える、野菜や果物のビタミン類」
しかし、これら基本の基こそが大切で、
今でも頭の中にしっかり叩き込まれている訳だ。
多くのイギリス人には、恐らくそれがない。

イギリスの子供の偏食の多さや悪食ぶりを、
多くの親は「学校給食の(調理の仕方の)せい」と言う。
確かに、イギリスの学校給食の質はひどいらしく、
ジェイミー・オリバーも何とかしようと試みた。

しかし、コスト削減や調理師の労働待遇の悪さから、
これが全国的に改善される見込みは全く無いのだから、
いい加減学校給食に責任転嫁にするのは止めるべきだ。

まずは、「食の教育」は家庭から、
親自身から始めなければならない、
と言うことを、学ばなければなるまい。
とは言え、一体それをどうやったら
気付かせられるのかが、一番の問題だ。
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by piyoyonyonyon | 2016-05-22 15:07


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