2017年 07月 05日 ( 1 )

義父の遺灰

義父のお葬式には出席出来なかったが、
イギリスに戻って来た直後、
夫や義母と一緒に、遺灰を受け取りには行った。
前にも書いたように、イギリスでは、
火葬の当日ではなく、
2週間以上経ってから遺灰を受け取る仕組み。

義父が荼毘にふされた火葬場は、
南ロンドンの古い墓地の真ん中に在る。
墓地自体が丘になっており、
火葬場は丁度その頂上に立っている。
義母は、またあの急な丘を
登らなければならないのかしらと心配したが
(一般駐車場は火葬場付近にないので)、
問い合わせると、遺灰は、墓地の入り口の
事務所で受け取れるとのこと。
足腰の痛む義母は、安堵した。

墓地の事務所へ行くと、
ある程度想像はしていたが、
儀式も何もなく、ただ業務的に、
義父の名前と日付け等の記入されたラベルが貼られた、
高さ30cm程度の緑色のポリ容器
(夫に言わせると園芸肥料を入れるような)を、
どーんと渡された。…これが義父の骨(灰)壷である。

凄く経済的なタイプを選んだからコレなのか?
とも思ったが、他に受け取りに来た人の
骨壷を見ても同じだった。

事務局のスタッフは、「袋に入れたほうが
持ち易いですよネ~」とか言って、
親切にもビニール袋に入れてくれた。

持ち上げて見ると、軽量のポリ容器のはずなのに、凄く重い。
夫は「棺の分の灰も入っているからだよ」と言うが、
もしかしてこれ、遺体まるごと一体分の灰なのか?

とにかく、それが義父の現在の
変わり果てた姿なのは確かで、私は涙が出た。

事務所で遺灰を受け取った後、夫が、
ここは古い墓地で結構興味深いと言って、
案内してくれることになった。
坂は急だし遺灰は重いから、
「母さんは、その老人(義父の遺灰のこと)と一緒に、
そこで待っていてくれ」と夫は言い、
墓地内のベンチで義母に待機して貰うことにした。

イギリスの古い墓地の常で、
ほとんど手入れされておらず、
非常に傾いた墓石が雑多に立ち、
その上樹木は鬱蒼と茂り、草はぼーぼーで、
即ゾンビ映画の撮影が出来そうな雰囲気だった。
中には、今にも転倒しそうな巨大墓石
(つまり当時は相当裕福だったのであろうが)も在り、
やはりイギリスの墓地は怖い場所だと思った。
イギリスも墓地不足が深刻で、値段は高騰し、
特に都市部では墓地を購入するのが非常に困難だと聞くのに、
こんなに無縁墓石を放置したままでは、
墓地の敷地を無駄にしているとしか思えない。

入り口近くには金持ちのマウソレウム(霊廟)が並び、
頂上の火葬場近くには、
崩れ落ちそうで立ち入り禁止になっている
カタコンベ(地下墓地)も在る墓地だ。

現在義父の遺灰は、自宅の使用していない部屋の、
本棚の合間に置いてある。
花や遺影が飾ってある訳ではなく、
本当にただポツンと置いてあるだけ。

義父は、毎日曜日に教会に通う、イギリスでも数少ない
(現在英国のキリスト教徒の一割だけだそうだ)
敬虔なキリスト教徒だったから、
お葬式も教会で行われたが、
その後、日本の初七日~四十九日
のような供養儀式は一切ない。

義父の遺灰は、行く行くは、
墓地内の共同散灰場に撒くことを検討している。




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by piyoyonyonyon | 2017-07-05 15:06